ALSの父と過ごした日々〜3〜

2009年6月、父が難病ALSだと確定した。

あの時の父のことを思うと今でも泣けてくる。

「治るみこみはない。治療方がない。」

日に日に動かなくなる右足。

襲い来る不安と絶望。

あの頃の父は病気を受け入れるまで無茶なことを言うことがあった。

「一軒家を買いたい」

まだ55才だった父はもちろん一家の大黒柱。

でも主治医に「長く仕事を続けることは難しい」と言われたらしい。

なぜ父がそんなことを言い出したのかというと、我が家はエレベーターなしの4階だったから。

分譲マンションだけど、築年数もだいぶたってるから売っても二束三文だろう。

そんな体でローンなんて通るわけもない。

ただ日に日に階段が登れなくなっていく父は家に帰れない恐怖に怯えていたように思えた。

結局残される母のことを考え、これからかかる治療費なども考え、私が通うことも考えて実家の最寄り駅の近くの賃貸のマンションを借りることになった。

この頃母は将来を悲観して落ち込んでばかりで父や父の病気と向き合うことができなくなっていた。

顔を合わせたらケンカ。

私の時もそうだけど、病気が発覚したときが一番つらい。

死の不安はもちろんだけど、生活がかわることへの不安がとにかくつらいんだと思う。

私も泣いてばかりいた。

父の涙は最後までみなかったけどきっと一人で泣いてたんだろう。

人前で泣けない分男の人はつらいね。


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